斉藤朱夏さん、という人について、感じていること。

斉藤朱夏さんって皆さんどんなイメージでしょうかね。デビュー作の渡辺曜役から来る快活なイメージ、おどけて喋るときのフレンドリーなイメージ、あとは喜怒哀楽を隠さない率直なイメージでしょうか。

その辺りも大いに同意するところではありますが、私が感じているのは少し違う――慎重で、繊細で、孤高の風を纏ったひととしての一面です。一瞬だけそれが見える機会があったので、書いておこうと思います。

 

去る2022年2月19日、斉藤朱夏さんの2nd写真集「朱夏休み」の発売を記念して開催されたサイン会&トークイベントでの出来事です。

かねがね私は、斉藤朱夏さんといえば歌や演技、トークなどに注目しつつも、やはりオンリーワンなのはダンスだろうと考えていました。俊敏で、軽量で、迷いや揺らぎのない動き。いい機会なのでダンスを賞賛する一言だけはとにかく伝えようと。あと同日夕方から別の用があったのでスーツ着用で行ったのですが、ちょっとウケたらいいなというしょうもない目論見もあったりして。

 

順番待ちをしている間、ほかのファンの方との会話も聞こえるんですが、推しであることをアピールしたり、和気藹々と話してたりと。伝え方にも色々あって面白いですね。そうこうしているうちに自分の番。

朱:えー、仕事帰り~?(笑)

スーツを見て一言。読み通りです…が、本人を目の前にすると急に冷静になってしまう。この人をガッカリさせるようなことは絶対言ってはいけないし、だいたい初対面でウケ狙いをするバカがいるか!

私:今日は、大事な日なので

朱:へ~

そう言って、軽く笑いながらペンを滑らせている。今だ、言わなければ。

私:朱夏ちゃんのダンス、大好きです

よし、言えた。あとは「ありがとう」からのいくらかの受け答えで、この場は楽しく終われるだろう。そう思った私に対して彼女が放った一言は、全く想定外のものでした。

朱:まだまだ、極めなきゃいけないんだけどね

気付くともう彼女は笑っていない。真剣で遠い目をしている。板の上が遠い世界だなんて知っていたはずなのに、易々と賞賛が届けられると思ったのが間違いだったのか?完全に気圧されて、思考が蒸発するのを感じる。考えろ!時間がない!今言うべきことは何だ?伝わるのか?顎が重い!心臓が口から飛び出そうだ…

私:ずっと、応援しています…

どうにか絞り出したのは、何の工夫もない一言でした。全然思い通りにならなかったな。でも身の引き締まるよい体験でした。推しを神、ファンを信者、推し活を信仰って俗に言うけど、案外当たってると思います。

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帰宅してみると最後の一言にはやはり心残りがあり、メッセージを追加して「しゅかラジ!」に投稿したところ、3月23日の放送で取り上げてくださいました。

「写真集『朱夏休み』重版おめでとうございます」ありがとうございまーす!(拍手)嬉しー本当に。

「幸運にもですね、『朱夏休み』発売記念イベントに参加しました」ありがとね。

「私が、朱夏さんのダンスが大好きです」、と、あ、間違えた。大好きじゃなくて好きですだった。ちょっと盛っちゃった(笑)

違います。盛ってません。ご本人の前では「大」を付けたんですが、文章に書くと少し照れ臭くなって外したんです。えええええそんな細部まで覚えてるとか、この人には敵わないな。案の定Twitterでは「朱夏ちゃん盛ったのかよ」という微笑ましい反応が多数でした。盛ってないよ!凄い人です。

「私が朱夏さんのダンスが好きですとお話ししたとき、朱夏さんから『まだまだ、極めなきゃいけないんだけどね』というお返事をいただき…」ああ~、言ったわ私。

「この方は、本当に、自分への挑戦を、迷いなくずっと続けているのだと、自分でも驚くくらい、感激してしまいました。きっと上手く話せなかったので、この場を借りて、改めて伝えたいと思います。極めるまで、ずっと応援しています。それと、貴重な機会をいただき、ありがとうございます。季節の変わり目ですが、お体に気をつけて、頑張ってください」といただきました。

ありがとうございます。アキラ!ちゃんと覚えてるよ!確かにこの話、してもらいました私。ダンスが好きです~っていうお話だったりとか、ほんと、ああいうなんか、なんだろ、近くで話せるイベントってすごくお久しぶりだったので、みんなからこう、聞く一言一言に、すごく私はあのイベントで勇気を貰い、背中をたくさん押してもらいました。

本当に参加してくれた皆さん、ありがとうございました。皆さんもですね、季節の変わり目ですので、体に気をつけて、一緒に頑張りましょう!

孤高の風は強く大きく優しい風でした。